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「人 生まれいずる 星」 −第1章− <第3話> |
「分かった。よくやってくれた。腹が減っただろう。皆、今日の獲物で大きいのを食わせてやるよ」 妹の憎まれ口も新しい土地への出発を前に弾んでいた。
「シャマ、今度の土地に嵐のせいか、木が沢山流れ着いてたよ。これでまた色々作れるね」
移動を重ねる間に大きくなっていたシャマの群れは海岸を長い列になって歩き続けた。
だが一番違うのは、遠く海の上に見える大きな影だ。 「あれはティンワだよ」 ドムハは呟いた。遠目に緑がかって見えるその塊をじっと見つめている。 「『ティンワ』って何だ? あれは大きい岩じゃないのか? 見たことがあるのか?」 シャマの問いにドムハは口ごもった。 「うん……。あれは大きくて、少しだけ木も見えるだろう……? 岩じゃない。皆は『ティンワ』と呼んでいた……と思う」 「この間、ここへ来たときか?」 「……違うかもしれない。でも前に来た時に……」 ドムハはどこか空ろな口調で話しながら、記憶を探っていた。 「ティンワか……。あそこまでなら、アレで行けるだろうか」 「この流れ着いた木で作ったもので?」 「ああ、聞いた通りに沢山あるからな」 新しい場所に落ち着くと、早速流木の筏が作られ始めた。
急な知らせを告げに来たドムハと共に仲間の目を避けて、丘を抜け高い崖の上へ急ぐ。
「いつ、こんな近くに来たんだろう」 「あたしたちと同じくらいかもね。でも、こんなに近いんじゃ獲物の取り合いになるよ。どうする?」
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Tamasaka
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